「オウム返し」と並んで、自閉症児によく見られる「逆さバイバイ」。
「逆手バイバイ」「逆バイバイ」「逆向きバイバイ」など、他の呼び方をされることもありますが、全て、手のひらを自分のほうに向けてするバイバイのことです。
普通は、相手から「バイバイ」と手のひらを向けられると、同じように相手に手のひらを向ける「バイバイ」を1歳の子でもするものですが、自閉症スペクトラムの子はよく自分に手のひらをむける「逆さバイバイ」を返します。
なぜ、手のひらの向きが逆になるのかというと、「相手の立場になって物事を考える」ことが決定的に苦手だからです。「模倣」をしようとしない、できないのも、この特性が原因です。
相手から「バイバイ」をされた時に、手のひらがこっちをむいている=自分も相手に手のひらをむけて「バイバイ」をする、と私たちは何の疑問もなく瞬時に理解できるのですが、自閉症スペクトラムの人々は脳機能の障害により、この回路がうまく働きません。
自分のほうに手のひらが向いている=自分も自分に手のひらをむけて「バイバイ」する、と見た通りそのままにしてしまうのが、自閉症スペクトラムの人々の特徴です。見た通りそのままの情報を受け取ってしまい、相手の立場や他の見方、裏の意味などを想像することはとても苦手です。
この傾向が顕著に表れるものに、「サリーとアン」という有名な実験テストがあるのですが
①サリーが「かご」におもちゃを入れます
②サリーは部屋を出ていきました
③アンが「かご」からおもちゃを出し、「箱」に入れ替えました
④サリーが部屋に帰ってきました
サリーは、おもちゃを探しています。どこを探しますか?
という質問に対して、自閉症の人はみな「箱」と答えます。言葉をペラペラ喋れる高機能自閉症の人でも、「箱」と答えるそうです。私たちは一見しただけで、サリーはアンがおもちゃを「箱」に入れ替えたことを知らないのだから、まずは自分が入れたはずの「かご」を探すはずだとわかりますが、自閉症の人たちはおもちゃは「箱」に入っているから、「箱」を探すのだと答えます。自分が見たものしか、理解できないからです。サリーの気持ちや見方を想像することは、彼らにとっては非常に難しいのです。
つまり、この相手への、他人への想像力の欠如が、逆さバイバイの原因なのです。
逆さバイバイを直すことは、できます。
周りの人間が手のひらを自分にむけてバイバイをすれば、それを見た自閉症の子供は逆に手のひらを相手にむけてする、普通のバイバイを覚えます。自分のバイバイする姿を鏡で見せたり、丁寧に「手はこう向きだよ」と教えてあげることで、おそらくそんなに大変な修正をしなくても直ると思います。
ですが、バイバイだけではないんですよ。
ありとあらゆる場面で、この「相手の立場になって物事を考えられない」ことが原因で、問題が起こってきます。おもちゃの貸し借り、おやつの分け合い、列に並ぶ、お遊戯をする、もう日常的な全ての場面で、「人と同じように振舞えない」「自分勝手な行動をとってしまう」のが、発達障害のある子供たちの特徴です。
人のおもちゃは無理やり取るけれど、自分が取られると大騒ぎして泣いて暴れるなど、なかなか相手の気持ちを考えられません。しつけの問題ではなく、それが特性なのです。そこが育ちにくい、弱いのだと周りが理解した上で、丁寧に教えて身につけさせていく必要があります。普通の子供は誰からも教えられなくてもなんとなく見て覚える部分を、ソーシャルスキルトレーニングなどの専門的な療育で教えなければいけません。
お子さんがもし逆さバイバイをしたら、「相手の立場」を早くから意識させるように、親も接し方を工夫していきましょう。「お母さんは、こう思う」「〇〇くんは、〇〇だから泣いてるんだよ」「あなたはこう思っているんだね、でも〇〇くんはこうなんじゃないかな」などの、丁寧な声かけを小さいうちからくり返しているだけで、ずいぶん違うと思います。
「逆手バイバイ」「逆バイバイ」「逆向きバイバイ」など、他の呼び方をされることもありますが、全て、手のひらを自分のほうに向けてするバイバイのことです。
普通は、相手から「バイバイ」と手のひらを向けられると、同じように相手に手のひらを向ける「バイバイ」を1歳の子でもするものですが、自閉症スペクトラムの子はよく自分に手のひらをむける「逆さバイバイ」を返します。
なぜ、手のひらの向きが逆になるのかというと、「相手の立場になって物事を考える」ことが決定的に苦手だからです。「模倣」をしようとしない、できないのも、この特性が原因です。
相手から「バイバイ」をされた時に、手のひらがこっちをむいている=自分も相手に手のひらをむけて「バイバイ」をする、と私たちは何の疑問もなく瞬時に理解できるのですが、自閉症スペクトラムの人々は脳機能の障害により、この回路がうまく働きません。
自分のほうに手のひらが向いている=自分も自分に手のひらをむけて「バイバイ」する、と見た通りそのままにしてしまうのが、自閉症スペクトラムの人々の特徴です。見た通りそのままの情報を受け取ってしまい、相手の立場や他の見方、裏の意味などを想像することはとても苦手です。
この傾向が顕著に表れるものに、「サリーとアン」という有名な実験テストがあるのですが
①サリーが「かご」におもちゃを入れます
②サリーは部屋を出ていきました
③アンが「かご」からおもちゃを出し、「箱」に入れ替えました
④サリーが部屋に帰ってきました
サリーは、おもちゃを探しています。どこを探しますか?
という質問に対して、自閉症の人はみな「箱」と答えます。言葉をペラペラ喋れる高機能自閉症の人でも、「箱」と答えるそうです。私たちは一見しただけで、サリーはアンがおもちゃを「箱」に入れ替えたことを知らないのだから、まずは自分が入れたはずの「かご」を探すはずだとわかりますが、自閉症の人たちはおもちゃは「箱」に入っているから、「箱」を探すのだと答えます。自分が見たものしか、理解できないからです。サリーの気持ちや見方を想像することは、彼らにとっては非常に難しいのです。
つまり、この相手への、他人への想像力の欠如が、逆さバイバイの原因なのです。
逆さバイバイを直すことは、できます。
周りの人間が手のひらを自分にむけてバイバイをすれば、それを見た自閉症の子供は逆に手のひらを相手にむけてする、普通のバイバイを覚えます。自分のバイバイする姿を鏡で見せたり、丁寧に「手はこう向きだよ」と教えてあげることで、おそらくそんなに大変な修正をしなくても直ると思います。
ですが、バイバイだけではないんですよ。
ありとあらゆる場面で、この「相手の立場になって物事を考えられない」ことが原因で、問題が起こってきます。おもちゃの貸し借り、おやつの分け合い、列に並ぶ、お遊戯をする、もう日常的な全ての場面で、「人と同じように振舞えない」「自分勝手な行動をとってしまう」のが、発達障害のある子供たちの特徴です。
人のおもちゃは無理やり取るけれど、自分が取られると大騒ぎして泣いて暴れるなど、なかなか相手の気持ちを考えられません。しつけの問題ではなく、それが特性なのです。そこが育ちにくい、弱いのだと周りが理解した上で、丁寧に教えて身につけさせていく必要があります。普通の子供は誰からも教えられなくてもなんとなく見て覚える部分を、ソーシャルスキルトレーニングなどの専門的な療育で教えなければいけません。
お子さんがもし逆さバイバイをしたら、「相手の立場」を早くから意識させるように、親も接し方を工夫していきましょう。「お母さんは、こう思う」「〇〇くんは、〇〇だから泣いてるんだよ」「あなたはこう思っているんだね、でも〇〇くんはこうなんじゃないかな」などの、丁寧な声かけを小さいうちからくり返しているだけで、ずいぶん違うと思います。