言葉に遅れのある自閉スペクトラム症や、落ち着きがなく動き回ってしまうADHDの子供に対して、有効な療育方法に感覚統合訓練があります。我が家の次男ミッキーも、市の総合療育センターで受けています。
→(「ミッキー~4歳 幼稚園へ向けて療育のスタート」)
自治体の療育センターや、児童精神科などの病院、リハビリセンターなどで実施されているかと思いますので、興味がありましたらぜひお問い合わせください。
私たちは、生活の中で様々な感覚を使って暮らしています。
朝日をまぶしいと感じて目覚め、のどが渇いたと水を飲み、トイレに行き、ねまきのままじゃ寒いなと着替えて、お腹が空いたなと朝ごはんを食べます。それ以外にも、時計を見てそろそろ家を出る時間だから急がなくっちゃとか、空を見て今日は雨が降りそうだから傘を持っていこうとか、いろいろな刺激を自分の中で整理して、有効な情報と要らない情報に分け、さらに経験からそれに備えて生きています。
発達障害があると、この感覚を適切に感じられなかったり、情報を整理できないせいで、生活の様々なことがうまくできません。光を痛みと感じて泣き出してしまったり、逆に執着して手をひらひらさせてずっと光を見ていたり、また排泄感覚がわからずおもらしをしてしまったり、暑さ寒さがわからなかったり、毎日同じ服でないと着れなかったり、同じものしか食べられなかったり、これらの困った行動は、ほとんどが感覚をうまく使えていないことから来ています。
そのアンバランスで未発達な感覚を育てることで、全体の能力をバランスよく伸ばしていくための訓練を、感覚統合と呼びます。ボールプールに入ったり、ブランコやハンモックで揺らしたり、トランポリンを跳んだり、ジャングルジムや平均台、はしご上りなど、様々な感覚統合訓練があります。
言葉に遅れがあって療育を受けることになっても、言語訓練ではなく、まずは感覚統合訓練をすすめられることが多いです。回り道に見えても、実はそのほうが近道なのです。
訓練を受ける前に、りんごの木を例に説明を受けました。感覚の木です。
根っこの部分、第一段階はおよそ2歳頃までに発達します。
視覚や聴覚、触覚、前庭覚や固有覚が基本になります。筋肉の使い方、姿勢をうまく保つバランス感覚、また抱っこされると気持ちいいなどの快不快を感じるのが、この段階です。
木の幹の部分、第二段階はおよそ4歳頃までに発達します。
自分の体を使って、いろいろな動きをすることができるようになります。高いところに上ったり下りたり、先生の動きを真似したり、活動の幅がぐんと広がる時期です。
さらに枝の部分、第三段階はおよそ6歳頃です。
目と手を協調させて動かしたり、自ら目的をもって行動したり、形や音で区別できるようになったり、そして言葉はようやくこのあたりで完成します。
第一段階、第二段階、第三段階がうまく伸びることで、やっとりんごの実がなります。りんごの実は、授業を集中して聞く力だったり、考えたことをまとめる力だったり、抽象的な絵を描く能力だったり、友達のことを気遣う優しさだったりします。学校生活でつまづいている子供も、これまでの発達で弱い部分がないか、例えばバランス感覚が悪くて平均台が歩けないなどの問題があれば、そこにアプローチすることで、なぜか情緒面も安定してくることがわかっています。不思議ですよね~
自閉症スペクトラムやADHD、広汎性発達障害など、様々な発達障害がありますが、全てに共通する特徴として、この発達の凸凹さがあります。ミッキーも、言葉はうまく使いこなせないけれど、数字は強いし、パズルや型はめなどの形の認識も強いです。特性と言えば特性なんですが、そのアンバランスさゆえに生きづらさを抱えています。
逆に知能や言語に遅れがあっても、全体がバランスよく遅れている場合は、その子なりのスピードでゆっくりとでも伸びていくようです。ようは、バランスなんですね。やはり特別に弱い部分があると、パニックやこだわりなどの問題行動につながってしまいます。
長男のゲンキも、知的にはとても早熟で記憶力も抜群にいいのですが、体幹が弱く運動面はなかなかついていけていません。弱い部分、ありまくりです。今からでも、感覚統合訓練を受けさせたいと強く思います。ミッキーで勉強したことを、ゲンキにも応用して普段の生活に上手に取り入れていきたいです!
家庭でもできる、感覚統合の遊びについて紹介してある本です。私も参考にしました。どれも特別な動きではなく、普通の遊びの中でできることばかりです。ちょっと意識的に、取り入れてあげるだけでもずいぶん変わってくると思います。
→(「固有覚ってなに?」「前庭覚ってなに?」「触覚が未発達だと起こる、感覚過敏」)