人間の感覚には、聴覚や視覚、触覚、嗅覚、味覚などがあります。その他に、あまり知られておらず自覚しにくい感覚に、固有覚前庭覚があります。発達障害のある子供は、この固有覚と前庭覚が未発達のことが多く、いろいろな困った行動につながっています。今回は、固有覚についてご紹介します。

前庭覚に興味のある方は、こちらもどうぞ。→(「前庭覚ってなに?」)

固有覚と、身体の位置や動きを感じる感覚です。

img124

筋肉や関節の動きから感じられる固有覚は、思い通りに身体を動かしたり、ボールを投げる強さを調整するための感覚です。固有覚がしっかりと働くことで、身体の動きや力加減をコントロールすることができます。

固有覚が未発達だと、走ったり跳んだりする時に身体がスムーズに動かず、動きがぎこちなかったり、動作が乱暴だったり、手先が不器用だったりします。また身体の位置をうまく認識できないので、姿勢が崩れやすい、前回りなどのダイナミックに身体を動かすことを怖がったりしがちです。

img118

長男ゲンキは、ここが弱いように感じます。

姿勢が異常に悪く、常に横向きや変な姿勢をとっています。「それ、気持ち悪くないの?」と私なんかは見ているだけで違和感をもちますが、本人は気づいてすらいません。注意しても、身体をまっすぐにできません。

お手本の動きを真似したり、頭の中でイメージした動きをやることも苦手で、ブランコはまだこげないし、跳び箱などで思いっきり跳ぶこともできません。「怖い」と気持ちの上のストップもあると思いますが、何をどうすればそんな風にできるのかがわからない・・・という感じです。くり返しくり返し動きを身体に叩き込んで、ようやくできるようになったと思っても、しばらく間が空くとまたできなくなってしまいがちです。鉄棒やブランコは、公園で見かけるたびに「やってみ」と促すようにしています。

固有覚を鍛えるには、ぶら下がったり押したり引いたり、身体の力を入れながら動くことをさせます。
綱引き、トランポリン、空中ブランコや鉄棒にぶら下がる、重たいものを持つ、ジャングルジムやはしごに上る、などがおすすめの動きです。ボールを思った通りの場所に投げたり、マット運動も固有覚を鍛えることができます。

IMG_0400

感覚統合訓練は、子供が楽しんでやれることが一番大切です。
訓練の内容が、難しすぎたり簡単すぎては楽しめません。また、強要してもいけません。子供がやりたいと思える内容を、うまく工夫してやらせましょう。楽しく遊んでいたら、できることが増えた!というのが理想です。