言語療法

口より先に手が出る

我が家の次男ミッキーには、自閉症スペクトラムとADHDの発達障害があります。

幼少時から言葉の遅れがあり、3歳半でようやく二語文、6歳の今は、ほぼ口頭でやり取りができますが発音が難しい言葉があったり、抽象的な意味がわからなかったり、2歳半下の弟のほうが言語面も社会性も安定しています。

一番困るのは、「口より先に手が出てしまう」こと。

ミッキーは幼児期から衝動性が非常に強く、言葉の遅れはもちろん気になりましたが、それよりとにかく多動を何とかしてって感じでした。10秒でいいから座って欲しいって思っていましたね。

感覚統合訓練を1年間療育センターで受け、集中力がついてようやく言葉も出始めました。幼稚園と並行して通級や療育を続け、今はかなり周りに合わせて動けるようになってはきました。

それでも、今でも口より先に手が出ます。

欲しい物が目に入ると、周りの人間はほぼ見えません。いきなり取ってしまうし、取り返されると(自分が先に取ったくせに)ものすごく怒ります。自閉症スペクトラムの「言葉が出にくい」特性に、ADHDの衝動性がプラスされるので、ここは本当に育ちにくい部分です。

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言語聴覚士の先生から、そういった子への対処法を教えていただいたのでご参考までに。


まず、取りに来られても、必死で「取らせない」(^_^;)

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制して、「何て言うんだったかな?」と誘導。
(難しければヒントを出してもOK)

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「貸して」「見せて」など、子供から伝えられたら、ようやく渡す。


大切なことは、制止が間に合わず取られてしまった場合も、手を抑えるなどして必ず「貸して」を言わせる。「貸して」が言えたら、「必ず貸してもらえる」状況を作る。(言っても貸してもらえなかったら、取ることをやめない)

徐々に「貸して」が先に言えるようになったら、「終わったら返してね」「大事な物だから、触らないで見るだけにしてね」など、異なる条件も提示していく。相手から「貸して」と言われたら、貸してあげられる練習も始める。

言葉でのコミュニケーションが難しい場合でも、身振りや意思表示カードを使うことで、まずは相手に伝えてから行動することを学ばせます。

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意思表示カードは、生活の中でよく使う言葉をいくつか入れておきましょう。本人が使えればベストですが、介助者が持っておいて、手が出そうになった時にさっと「どれかな?」と気持ちを確認する癖をつけるとよいそうです。ベルトなどにつけておいて、必要なときだけ使えるカードホルダーなどがあれば、普段から使いやすいです。




多動の子の攻撃に「取らせない」反射神経が求められる対処法ですが、「無理やり取ったほうが早い」「取ったら手に入る」とインプットされてしまうと、いつまでも問題行動が収まりません。

「無理やり取ったら貸してもらえない」「言えたら貸してもらえる」と教えなければ、「口より先に手が出る」のは直りません。また対応は一貫していなければ、子供が混乱して身につきません。幼稚園では言わないといけないけど、家では取ってもいいなどと、場所によって対応が変わらないように気をつけましょう。

ミッキーは視野が狭く人より物のほうが目に入りやすい人なので、他の人も使っていると気づかなかったり、突っ走ってしまってぶつかったり、(慣れない人には)「貸して」がどうしても言えずに取ってしまったり、「貸して」と言えてもすぐ貸してもらえないと怒ってしまったり・・・根気強く「周りを見て」と言い続けるしかないのでしょう。

まあそれでも、1年前、2年前に比べれば、「貸して」が言える回数は増えてきているし、待てる時間も少しずつ伸びています。いつか、できるようになる!そう信じて。

「さ行が言えない」ゲンキの発音訓練 ことばの教室


「ことばの教室」は、ゲンキの通っていた幼稚園のすぐ近くにあり、気軽に通うことができました。近所なので、幼稚園の頃からゲンキを見知ってくれている先生もおり、私も気負うことなく相談することができました。

初回の教育相談では1時間ほどかけて、これまでの成育歴から確認します。歩き始めや話し始め、性格や幼稚園や学校での様子など。こだわりが強いこと、今のところ友達とはうまくいっているが、話を聞けなかったり急に喋りだしたり、周りが見えていないことを話すと、うんうんとうなづかれます(;´д`)

「マイワールドの濃いお子さんなのは、よく知っています」

「あ、やっぱり?ですよね・・・」

「でも大丈夫。お母さん、エジソンを育てていると思って!」

この言葉は、今も私の支えです。

7歳ごろからささいなことで癇癪を起こすようになり、反抗も激しく、一度すねて部屋にこもるとなかなか出てきません。言うことも聞かないし、かといって自分一人ではまだまだ危なっかしい。それまでおっとり系だったのに、急に扱いづらくなってきたゲンキに手を焼いていたので、育てにくいと悩んでいた私の胸に、この一言はすっと染みました。工作や発明が大好きなゲンキ。そうか、この子はエジソンだったのか。

ゲンキとの関わり方が、やっとわかったような気がしました。

エジソンもアインシュタインも、偉人と呼ばれている人は大なり小なり、発達障害を持っていたと言われています。

普通の子育ては、通用しない。でも、それだけの可能性を秘めている。そんな子供を授かったことを、幸運だと思えるようになりたい。

そして始まった発音訓練は、おはしを口に挟んで空気を出す練習をしたり、ストローを吹きながら舌の位置を確認したりと、とても専門的なものでした。音読などで私がいくら直しても言えなかった「さしすせそ」や「ざじずぜぞ」が、みるみるうちにきれいになっていきます。口内模型で説明されたことも、理屈大好きなゲンキにはよかったよう。驚くほど素直に、先生の言うことを聞いて練習に励んでいます。

さ行がしゃ行になってしまうのは、発音するときに口の中で舌が滑ってしまうせいだそう。(旦那さんも、子供の頃全く同じ症状でさが言えなかったらしい)赤ちゃんっぽくなるのを、ゲンキ本人も気にしていたようです。まずは正しい舌の位置を確認しながら、何度も先生のマネをして練習を繰り返しました。

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自分でもはっきりとわかるほど上達するので、達成感もあったようです。発音練習は集中的にする必要があるとのことで、3か月ほど週に一度通うと、最後まで直らなかった「つ」(ちゅになる)も言えるようになりました。

構音障害は、専門的な訓練をすることでほとんどの子が直るそうです。個人差がありますが、半年から1年ほど集中的に訓練することで、普段の生活でも気にならなくなります。ただ一度身についた発音は、意識しないとなかなか直りません。「ことばの教室」を卒業するとまた戻ってしまうこともよくありますが、一度発音のコツがわかれば、行きつ戻りつしながらも、徐々に直っていくそうです。

ゲンキも初めは「ことばの教室」でだけでしたが、だんだん宿題の音読練習でも意識できるようになり、普段から意識できるようになり、今も時々「ギョウジャ食べたい」(餃子食べたい)とか言うこともありますが、その場ですぐに直すことを続けて、ほとんど気にならなくなっています。


profile

筆者:nontan
男の子3人を育てています。
長男ゲンキ(2009年生)
こだわりの強いグレーゾーンBOY
+アトピー&卵アレルギー

次男ミッキー(2012年生)
ASD+ADHDのハイブリッドBOY
+ぜんそく&卵エビカニアレルギー

三男ユウキ(2015年生)
今のところ普通に見えるけれど…アレルギーなし

出産前は書店勤務&JPIC読書アドバイザーとして活動していました。子育てが一段落したら、読み聞かせ活動を再開したいです!
はじめての方は、こちらの記事をまずお読みください。

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