療育について

力の加減ができるようになろう

我が家の次男ミッキーには、自閉症スペクトラムとADHDの発達障害があります。

力の微調整が苦手で、とても不器用です。ゆっくりと成長はしていて、はさみやお箸も使えるようになってきましたが、正しい持ち方や上手な使い方は、まだまだできません (^_^;)

夏休みに、特別支援学校の夏期集中講座に参加してきました。
→(「夏期集中講座への参加」)

保護者向けの講習で、作業療法士の先生から、まさに「力の加減が苦手な子へのアプローチ」に関してお話があったので、ご参考までに。

以前の記事で、「感覚統合」についてまとめているので、「感覚統合?」と聞き慣れない方は、そちらから先に読んでいただくと、よりわかりやすいかと思います。
→(「感覚統合ってなに?」)

私達は、普段から視覚や聴覚、嗅覚、触覚など、さまざまな感覚を使って暮らしています。暑いから上着を脱ごうとか、疲れたから休もうとか、感覚から得た情報をもとに、行動しています。

発達障害があると、この感覚がうまく感じられなかったり(過敏すぎたり鈍かったりする)、感覚と意思がうまくつながらずにどうしていいかわからなかったり、身体を上手に操れなかったりと、うまく行動できません。

こういった感覚のアンバランスからくる発達の偏りをならすために、「感覚統合訓練」があります。療育でよく行われています。トランポリンを跳ばせたり、ブランコでおもいっきり揺らしたり、ボールプールの中で圧迫したりして、足りない刺激を与えることで、感覚の発達を促します。

さて、「力の加減が苦手な子」へのアプローチです。

まず、いきなり細かい作業を練習させても、できません。発達は必ず、大きな動きから小さな動きへと流れます。細かい作業が苦手な子は、まず「大きな動き」「思いっきり力を入れる動き」から練習させる必要があります。

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砂場遊びで例えると、まずは「大きな穴をほる」「大きな山をくずす」など、全身の力を使う動きをたくさんさせます。

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「大きな動き」が上手になってきたら、「泥だんごを作る」「山にトンネルをほる」など、「細かい動き」を少しずつさせていきます。泥だんごは力を入れすぎると壊れてしまうので、よい力加減の練習になります。が、泥だんごを上手に作れるようになるのは、健常の子でも幼稚園の年長さんくらいからです。

ボール遊びでも、同じです。

コントロールが苦手だからといって、いきなりキャッチボールばかりしても上達しません。思いっきり遠くに投げる練習や、大きなボールを投げたり受けたりするところからやらなくては、小さなボールを扱えるようにはなりません。

発達障害があると、友達同士で公園で遊ぶ経験が少ないので、普通なら日常的に遊びの中で鍛えられる部分がスルーされたまま、大きくなってしまいがちです。小学校に入ってから、「体育でやるから、ボール投げができるようにならなくっちゃ」と焦っても、いきなりはできないのです。

やっぱり大事なのは、遊びの中でいろいろな動きをさせなくてはならないということですね。ミッキーも、今は学校でいっぱいいっぱいで、なかなか放課後公園に遊びに行く体力が残らないので、はやく体力がついてたくさん遊べるようになってほしいな~と思います。

NHK教育「できないをできるマン」

NHK教育テレビ「で~きた」に出てくる「できないをできるマン」って知っていますか?

幼稚園&保育園&小学一年生の先生向けに作られた教材用番組のようなんですが、グレーゾーンの子にわかりやすく生活の様々なことを教えるのにうってつけ!でおすすめです。

2016年4月~2019年3月まで放映されており、10月1日から再放送が始まりました。
火曜日の9時~9時10分です。

詳しい放送予定はこちら→https://www.nhk.or.jp/tokkatsu/dekita/origin/schedule/

主人公は、「できない小学校」で働いている出来内満太郎(加藤諒)と、

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一年生のおうすけ君(田代輝)。

もうグレーゾーンの子を育てていると「あるある!」とうなづきまくってしまうおうすけ君のうっかりぶりに、親も楽しめます。泣き方も派手で、表情を読むことが苦手な自閉症スペクトラムの子供でも、
わかりやすいのだと思います。次男ミッキーは、いつもこのシーンで大うけ。

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教室に設置されている「できるメーター」が、おうすけ君が何かやらかすたびに減っていき、全部なくなってしまうと満太郎が「できないをできるマン」に変身して、助けにやってきます。

メーターが減るという視覚的にわかりやすい表現で、「できない」ことを伝えてくれるので、小さな子供やグレーゾーンの子供でもとてもわかりやすくなっています。大人からしたら、こんなことしたら後でこうなっちゃうよ~という因果関係も、子供にしたらわからないんですね。「今!」でしか生きていない子供たちに、少し先のことまで考えながら生活するように促すことができます。

例えば、以前放映していた「体調管理」編では、おうすけ君が暑いのに上着を脱がないで汗びっしょりになって、それなのにお茶も飲まずにいると授業中に「き、きもちわるい・・・」と熱中症になってしまうシーンがありました。

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そこへ「できないをできるマン」が登場し、どうしてこうなったのかな?と場面を巻き戻しながら丁寧に説明してくれます。「あ、そうか!お茶を飲まなかったからだ!」とおうすけ君自身も気づくことができ、「次からは気を付けよう!」となれます。

「できないことに気づけたら、いつかできる!できないをできるマン!」(歌より)

発達障害のある子供は、視覚からの情報への反応が良いことが多く、いくら親が口で言って聞かせても馬の耳に念仏状態だったのが、絵で描いて見せたり、カードを介してやり取りをするとスムーズにいくことがあります。この「で~きた」も、小さな子供でもわかりやすいようにやるべきことを整理して、箇条書きにして絵で説明してくれるので、家庭でのソーシャルスキルトレーニングにおすすめです。全体にオーバーアクションで笑えるので、子供も勉強ではなく遊び感覚で喜んで見てくれます。

我が家でも「あ、できるメーター減っちゃうよ!」と声をかけることで
「そうやったそうやった」と気づいてくれることもあり、助かっています。

番組のコンセプト通り「できない」を「できる」に変えることができたらいいな (^▽^)/

公式サイト→http://www.nhk.or.jp/tokkatsu/dekita/

口より先に手が出る

我が家の次男ミッキーには、自閉症スペクトラムとADHDの発達障害があります。

幼少時から言葉の遅れがあり、3歳半でようやく二語文、6歳の今は、ほぼ口頭でやり取りができますが発音が難しい言葉があったり、抽象的な意味がわからなかったり、2歳半下の弟のほうが言語面も社会性も安定しています。

一番困るのは、「口より先に手が出てしまう」こと。

ミッキーは幼児期から衝動性が非常に強く、言葉の遅れはもちろん気になりましたが、それよりとにかく多動を何とかしてって感じでした。10秒でいいから座って欲しいって思っていましたね。

感覚統合訓練を1年間療育センターで受け、集中力がついてようやく言葉も出始めました。幼稚園と並行して通級や療育を続け、今はかなり周りに合わせて動けるようになってはきました。

それでも、今でも口より先に手が出ます。

欲しい物が目に入ると、周りの人間はほぼ見えません。いきなり取ってしまうし、取り返されると(自分が先に取ったくせに)ものすごく怒ります。自閉症スペクトラムの「言葉が出にくい」特性に、ADHDの衝動性がプラスされるので、ここは本当に育ちにくい部分です。

夏休みに特別支援学校の夏期集中講座に参加して
→(「夏期集中講座への参加」)

言語聴覚士の先生から、そういった子への対処法を教えていただいたのでご参考までに。


まず、取りに来られても、必死で「取らせない」(^_^;)

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制して、「何て言うんだったかな?」と誘導。
(難しければヒントを出してもOK)

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「貸して」「見せて」など、子供から伝えられたら、ようやく渡す。


大切なことは、制止が間に合わず取られてしまった場合も、手を抑えるなどして必ず「貸して」を言わせる。「貸して」が言えたら、「必ず貸してもらえる」状況を作る。(言っても貸してもらえなかったら、取ることをやめない)

徐々に「貸して」が先に言えるようになったら、「終わったら返してね」「大事な物だから、触らないで見るだけにしてね」など、異なる条件も提示していく。相手から「貸して」と言われたら、貸してあげられる練習も始める。

言葉でのコミュニケーションが難しい場合でも、身振りや意思表示カードを使うことで、まずは相手に伝えてから行動することを学ばせます。

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意思表示カードは、生活の中でよく使う言葉をいくつか入れておきましょう。本人が使えればベストですが、介助者が持っておいて、手が出そうになった時にさっと「どれかな?」と気持ちを確認する癖をつけるとよいそうです。ベルトなどにつけておいて、必要なときだけ使えるカードホルダーなどがあれば、普段から使いやすいです。




多動の子の攻撃に「取らせない」反射神経が求められる対処法ですが、「無理やり取ったほうが早い」「取ったら手に入る」とインプットされてしまうと、いつまでも問題行動が収まりません。

「無理やり取ったら貸してもらえない」「言えたら貸してもらえる」と教えなければ、「口より先に手が出る」のは直りません。また対応は一貫していなければ、子供が混乱して身につきません。幼稚園では言わないといけないけど、家では取ってもいいなどと、場所によって対応が変わらないように気をつけましょう。

ミッキーは視野が狭く人より物のほうが目に入りやすい人なので、他の人も使っていると気づかなかったり、突っ走ってしまってぶつかったり、(慣れない人には)「貸して」がどうしても言えずに取ってしまったり、「貸して」と言えてもすぐ貸してもらえないと怒ってしまったり・・・根気強く「周りを見て」と言い続けるしかないのでしょう。

まあそれでも、1年前、2年前に比べれば、「貸して」が言える回数は増えてきているし、待てる時間も少しずつ伸びています。いつか、できるようになる!そう信じて。

夏休みの宿題

我が家には、小学4年生の長男ゲンキと、1年生の次男ミッキー、年少の三男ユウキと3人の男の子がいます。

小学生組の夏休みの宿題も、いよいよ佳境に入ってきました。次男のミッキーはADHDの衝動性が強く人込みが苦手なため、小学校は特別支援級に通っています。国語や算数は支援級で学び、図工や音楽などは交流級で授業を受けています。知的には境界域なので、これまでも宿題は交流級と同じ内容をやっており、夏休みの宿題もどっちゃりともらってきました・・・

ゲンキも4年生になると宿題の量も増え、2人を並べて勉強させるのはそれはもう大変・・・( ;∀;)

さらに、夏休みは一学期のおさらいや、これまでの苦手を克服させるいいチャンスなので、ゲンキは計算と漢字の特別特訓をやらせます。ゲンキもこだわりが強いグレーゾーンBOYで、普通級に通っていますが、うっかりが激しい相当な変人です。計算などのケアレスミスが多く、記憶力は抜群にいいのに、興味がない(漢字とか)ことはまったく頭に入りません。

ゲンキは本が大好きで暇さえあればずっと読んでいるのに、作文が書けません。書き方はかなり教えますが、まず何を書いたらいいのか、からつまづきます。読書感想文が、毎年すごい難関。つきっきりでないと、書けません。うーん、なんでだろうね。

ゲンキは昔から、1+5などの簡単な計算ができなかったり(おそらく数の概念が弱い)、鏡文字と呼ばれる反転した字を書いたり(左利きのせい?)、え?なんで?という部分でつまづいてきました。通級教室や家庭学習でテコ入れし、持ち前の記憶力の良さでカバーして、何とかなっています。

そして、今年から宿題が始まったミッキーミッキーは意外と勉強が好き(やるべきことがはっきりしているから)なんですが、いかんせん、出力にムラがあり、やる気にならないと絶対にやりません。やる気になった時にすかさずさせないとやってくれないので、家事の途中でも放っぽって、とにかく宿題を手伝うようにしています。

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そして、集中力が、続かない ( ;∀;)

15~30分が限界でしょうか。いかに集中をそらさないで、効率よく勉強させるかにかかっています。まあ、そのあたりは、ゲンキも通った道なので・・・コツとしては、1つ解き終わった瞬間にすかさず次の問題を読んであげたり、指や棒で指してあげると、気がそれにくいです。ゲンキも集中が続かない人で、1、2年生の頃は横についていないと宿題ができなかったのですが、3年生くらいから少しずつ1人でもやれるようになりました。成長を待つしかない感じです。

でも意外だったんですが、ミッキーの文章は、いいんですよ。

「アサガオのたねがさきました」「たのしい、ぼく」とか、子供らしくてかわいい伸び伸びした表現をします。自閉症スペクトラムの診断がついているミッキーは、作文が書けなくてもしかたないと思っていましたが、むしろゲンキと違って、書きたいことがちゃんとある感じ。教えても、自分の書きたいことしか書きません。

ですが、家でみっちり一緒に勉強をしていると、ミッキーの苦手さがよくわかります。

これまでもうすうす感じていましたが、ミッキーは文章を読んで理解するのが難しいようです。これ、よく自閉症スペクトラムの人の事例を見聞きしますが、「読みながら理解する」のが難しいってやつですね。発達障害があると、同時に2つのことをやれない人が多く、文を読みながら意味を理解したり、話を聞きながらノートを取るのが難しいのです。ミッキーも、音読は上手ですらすら読むのですが、文字を追うのに集中すると意味が取れません。お話の内容はおもに挿絵から理解している様子です。計算そのものも早いのですが、文章題になるとさっぱりです。

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うーん、これはおそらく、一生抱える苦手さだろうなと思います。一行ずつ読んで理解する練習をさせるなど、特別なトレーニングが必要になると思います。より内容が高度になると、ついていくのが難しくなっていくでしょう。

夏休みの宿題に付き合うのは大変ですが、こうして子供の苦手や現状把握にとても役立つので、できるだけ様子を見守りたいなぁと思います。

スクールカウンセラーの先生のお話

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先日、発達障害のある次男ミッキーと、特別支援学校の夏期集中講座へ参加してきたのですが、

→(「夏期集中講座への参加」)

その中で保護者向けの研修もあり、作業療法士や言語聴覚士の先生のためになるお話をたくさん聞け、とても参考になりました。具体的な接し方や参考文献も紹介していただけたので、家庭での生活に取り入れたいと思います。ですが、一番心に刺さったのが、スクールカウンセラーの先生のお話でした。

特別支援学校を巡回しているベテランのスクールカウンセラーの先生が1時間講習をされ、ご自身の経歴やこれまで印象に残っている相談などを紹介してくれました。保護者の相談はもちろんですが、中学部や高等部になると生徒自身が相談に来ることも多いらしく、「お母さんや周りのみんなに迷惑をかけて」と30分号泣して帰っていった子の話を聞くと、会場みんな涙ぐんでしまいます。

先生は仰ってくださいました。

「障害のある子を育てるということは、一緒に生きるということは、生半可なことではありません。みなさんがどれだけの苦悩と苦労をかかえていらっしゃるか、他の人間にはわかりえません。同じ障害児の親としても、同じ思いを抱えているとは限りません。一度は障害を受け入れて前向きになったとしても、寄せては返す波のように、何度も何度も苦悩がやってくるものです。辛くて当たり前、本当にみなさん、よくやってらっしゃる」

「私も若い頃は、もっとがんばりなさいよなんて、心の中では思っていましたが、今はとてもそんなことは言えません。よくやってらっしゃる。子供が嫌になる瞬間だって、あって当たり前だし、どうにかならないのかと泣くことも、当然です。パチンコに行って、憂さ晴らしなさったっていいんです。好きなものを食べるとか、好きなものを買うとか、ストレス解消の手段があるといいですね。そうでもしないと、お母さんが倒れてしまいます」

「どんな相談でもいいんです。好きな芸能人の話を1時間して帰る方もいらっしゃいます。それで、いいんです。そうやって、関係のない話をすることで気分転換ができ、また2週間耐えしのぶことができるとおっしゃるお母さんもいるのです。つらい時は、どうぞカウンセラーのところへ来てください」

この先生になら、いろいろと話してみたいと、思いました。

スクールカウンセラーって、何のためにいるのかと今まで思っていましたが、必要なのですね。最後の防波堤というか、あの先生になら胸の内を話せるというのは、話すことで救われるというのは、子育て中の親子にとって必要な存在だと感じました。

でもそれも、この人にならと思える先生でないといけません。

その先生は希望して、特別支援学校や盲学校など、配慮の必要な子供が通う学校を巡回しているそうです。なかなか、できないことだと思います。私も、長男ゲンキが2年生の時に、担任の先生と合わなくてしんどい時期があり、小学校のスクールカウンセラーに時々相談したりしていましたが、けっこう若い先生で軽い印象があり、通り一遍の相談ごとしかしませんでした。ミッキーの悩みをあの人に話したいかというと、言わないだろうなと思います。

言ってもしゃあないというか、そもそも何をどれだけわかってもらえるだろうと疑心がある、かな。

講演をされていた先生は超のつくベテランで、ご自身の子育てを振り返って「育児中が一番しんどかった。まだ仕事しているほうが楽だった。専業主婦なんて、どれだけしんどいかと思う」とポロっと仰っており、そう、そうなんだよ・・・と共感しまくりでした。この先生に巡回に来てほしい!と心から思いますが、まあみなさんそうなんだろうから、それだけの人材にはなかなか出会えないのが現実。

本当にしんどい時、誰かに話すことで楽になるのかもしれません。
スクールカウンセラーは、子育ての悩みを一緒に考えてくれる、寄り添ってくれるための存在なのですね。いい人に巡り合えたら、いつか本当にしんどい時、相談してみたいです。

そう、親が元気でないと、子供も健全に育たない。夏休み、ずっと一緒にいると、やっぱりイライラするし、しんどいから。何か発散方法を見つけて、自分のケアも考えていないといけませんね。

profile

筆者:nontan
男の子3人を育てています。
長男ゲンキ(2009年生)
こだわりの強いグレーゾーンBOY
+アトピー&卵アレルギー

次男ミッキー(2012年生)
ASD+ADHDのハイブリッドBOY
+ぜんそく&卵エビカニアレルギー

三男ユウキ(2015年生)
今のところ普通に見えるけれど…アレルギーなし

出産前は書店勤務&JPIC読書アドバイザーとして活動していました。子育てが一段落したら、読み聞かせ活動を再開したいです!
はじめての方は、こちらの記事をまずお読みください。

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