発達障害について

他害行動が直るまで

我が家の次男ミッキーは、自閉症スペクトラムとADHDの発達障害があります。

ものごころつくまえから、衝動性や多動が目立ち、手が出ることが多い人でした。口より先に手が出てしまうし、気に入らないことがあると暴れるし、周りが見えていないので物や人にしょっちゅうぶつかります。

長男はおっとり系で、手が出るなどの問題はなかったのに、次男のはちゃめちゃぶりには・・・本当に苦労してきました。兄弟で気質がちがうとはいえ、こうまで手が出てしまうのは、やはり発達障害の特性が原因だと思います。

ミッキーの他害行動を直したいと、この数年間はひたすら対応を重ねてきました。

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それでも、他害行動は一朝一夕に直りません。

定型発達の子供でも、口より先に手が出てしまうことはよくあります。また普段はおとなしいのに、自分の大切なものを壊されたり、ひどい悪口を言われたりして、手が出てしまうこともあります。

防衛本能、だと思います。
本能なので、矯正するのに時間がかかります。

もちろん、どんな時でも叩いてはいけないと言い続けなければなりませんが、子供の言い分も聞いて「そういう時は、こうすればよかったね」と一緒に解決法を考えていくことが大切です。

普通はそういった周囲の対応を続けることで、理性が育って、徐々に他害行動は収まっていきます。言葉が発達して、言葉で説明できるようになってくると、収まっていく子供がほとんどです。

根気強く、親や保育者が「暴力はいけない」と伝え続けるしかありません。

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ただミッキーは、ADHDの特性から、興奮すると抑えが効かなくなってしまい、自分でもわからない中で手が出てしまうことが、幼少期からよくありました。叱ってもぽかんとしていることも多く、「こうすればよかった」といくら伝えても、記憶がつながらないため経験の蓄積ができませんでした。

ミッキーが変わってきたなと感じたのは、やはりひとつは、衝動性を抑えるため服薬を始めたことです。6歳から「ストラテラ」を飲み始め、少しずつ量を増やして、半年ほど経ったところで「だいぶ落ち着いてきた」と感じました。

→(「衝動性を抑えるADHDの薬3種類」)
→(「ん?ストラテラ、効いてきた?」)
→(「いよいよ、服薬のスタート」)

それまでは常にアクセル全開、ぶっ倒れるまで異常なハイテンションで騒ぎまくるという感じでしたが、なんか普通にまったり過ごせるようになってきたのです。もちろん、ささいなきっかけでスイッチが入ってしまい、ハイテンションになりやすいところはまだまだありますが、通常運転モードが加わっただけで、本人も周りもそうとう楽になりました。

ADHDなどで衝動性が強いため、他害行動が収まらない場合は、主治医と相談の上、服薬も選択肢のひとつだと思います。副作用もある薬なので、慎重にはなるべきですが、身体に合えば、生きづらさを軽減してあげることができます。

通常運転ができるようになると、少しずつ周りが見えるようになってきました。それまでは、友達も家族も、窓の外を流れる景色、くらいにしか感じていなかったと思います。ようやく、自分も景色の中(社会の中)にいる実感が出てきたのでしょう。

「叩いたら、遊んでもらえない」
「暴れたら、みんなと一緒にいられない」

それが理解できてから、自分でも他害行動を抑えようと努力する姿勢が、ちらほら見られるようになってきました。また、幼稚園時代は教室に入りたくないし、列にも並びたくなかったミッキーが、小学校ではみんなと一緒にいたいし、同じことをやりたがるようになりました。その気持ちの変化も、大きいです。

百聞は一見にしかず。これまでどれだけ「叩いてはいけない」と言われてもやめられなかったのが、叩いてしまうと教室から出されるのが堪えたようです。(容赦なく、連れ出してくださいと頼んであります)

「叩いたら、遊んでもらえない」
「暴れたら、みんなと一緒にいられない」

まずは、周りが見えるようになること。そして、誰かと一緒にいたいと思えること。そのためには、手を出してはいけないこと。その発達段階を踏んで、ようやくここまで進んできました。

一年前に比べると、手が出ることは格段に減りました。

今はストラテラの力を借りつつ、どうすれば人と仲良くなれるのか、どうすれば自分も周囲も気持ちよく過ごせるのか、を実体験で学ばせている最中です。叩かなければ楽しく過ごせた経験を、積んでいくしかありません。

社会で生きていくために必要なスキル。

まずは、絶対に暴力はいけないこと。
困った時は、誰かに伝えられること。

叩かずに、言葉で伝えられれば、どんなことも何とかなるのだと、ミッキーには言い続けています。これからも、生きていくために。


お子さんの他害行動で悩んでいらっしゃる方へ。
きっといつか、直ります。直さなければなりません。
すぐには直らないかもしれませんが、思っていたより時間がかかるかもしれませんが、それでも、きっと直ると信じて、粘り強く接してあげてくださいね。

他害への対応④ スモールステップ

我が家の次男ミッキーは、言葉の遅れと多動があり、3歳から療育に通い、5歳で自閉症スペクトラムとADHDの診断がつきました。

今、小学校1年生で特別支援学級へ通っています。

1学期は泣いて荒れる日も多かったですが、2学期は心配していた行事もがんばって参加し、とても意欲的に学校に通えるようになってきました。

ところが・・・音楽会が終わった後から、調子を崩しています。手が出ることが増え、とくに補助の先生と交流級に行くとふざけて手がつけられなくなってしまう様子を聞きました。

担任の先生と一緒だと落ち着いて過ごせるのに、補助の介助員さんだとふざけてしまう。

今、直面している問題です。

かなり落ち着いて過ごせるようになってきたから、これまでべったりだった担任の先生から少しずつ離して自立できるようにしていこうという対応の中で、ミッキーの反乱が起きています。

う~ん (*_*)

先日、懇談会があり、交流級の先生とも、支援級の先生とも話し合ってきましたが、私の希望としては「まずは、手が出ないで落ち着いて過ごせる環境を優先してほしい」と伝え、その方向へ対応を変更してもらうことにしました。

しばらく、補助の介助員さんとは支援級でのみ過ごし、交流級に行く時は必ず担任の先生につきそってもらえるようにお願いしました。もちろん交流の時間が減っても、まったくかまいません。

その中で、担任の先生の補助を少しずつ減らし、「後ろで見ているから、困ったことがあったら知らせてね」というように、安心できる見守りの中で、一人でもできることを増やしていく方向で対応していくことになりました。


トークンシステムの時にも書きましたが、スモールステップとは、「少しがんばれば達成できる目標」なことが大事で、「がんばってもできない目標」だったら子供もやる気がもてません。ですが、ここで陥りがちなのが、私達にとっては当たり前でも、発達障害があるととても難しい場合があることです。

今回の場合、

担任の先生と落ち着いて過ごせる
  ↓
介助員さんでも落ち着いて過ごせる
  ↓
一人でも落ち着いて過ごせる

というステップを用意していましたが、ミッキーには段差が大きすぎたようです。
そこで、

担任の先生と落ち着いて過ごせる
  ↓
担任の先生が見守る中で一人でも過ごせる
  ↓
介助員さんとでも落ち着いて過ごせる

と、間に、もうワンステップ入れました。

よりワンステップの段差を小さくして、取り組みやすくしたのです。これで、どうでしょうか。しばらく様子を見たいと思います。

このように、スモールステップをしているつもりでも、上手くいかない場合、ステップを見直す必要もあります。

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ステップの段差が大きすぎるとのぼれないので、

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小さなステップへの見直し、一歩戻ってやり直す、などの対応で、また前に進めるようになります。

トイレトレーニングなどでも、同じです。いきなりトイレでするよう促しても、失敗します。まずはおまるで練習したり、ご飯の前や寝る前だけなど機会を決めたりと、子供に無理がないように少しずつ取組むとうまくいきます。

できないできない!と追い詰めるよりは、少しずつでも、成長を重ねていければ、ふと振り向いた時にずいぶん高いところまで登ってこれたことに気づきます。

とくに発達に凸凹があると、私達が思ってもみないところでつまづいてしまうことが多いので、スモールステップで対応することが大切です。小さくても一歩ずつのぼって、きっと壁は超えられますから。

他害への対応③ 振り返り

我が家の次男ミッキーは、言葉の遅れと多動があり、3歳から療育に通い、5歳で自閉症スペクトラムとADHDの診断がつきました。

今、小学校1年生で特別支援学級へ通っています。

ミッキーについて、一番困っているのが、やはり他害行動です。気に入らないことがあると暴れたり、人や物に当たってしまいます。物心ついた頃から他害をなくしたいと取り組み続け・・・今も頻度は減りましたが、なかなかゼロになりません。

それでも、以前は訳もわからずめちゃくちゃやっていたのが、最近はいけないとわかって自分で手を止めようとしたり、やってしまった後に「こうすればよかった」と反省する姿が見られるようになりました。

ここにくるまでが・・・長かった。

他害などの問題行動を修正する時に、この「振り返り」ができるかどうかは大きなポイントです。発達障害があるとワーキングメモリーと呼ばれる記憶が弱い子供が多く、また「線でつながっておらず点で存在している」と表現されるように、記憶の回路が私達と異なっているようで、何度言われても覚えていられず、物事を忘れてしまいます。

ミッキーも、「今日は何したの?」などの質問に答えられるようになってきたのは、ようやく幼稚園の年長の頃で、それまでは聞いても「???」という感じでポカンとしていました。だんだん楽しかったことや印象的なことを話せるようになって「今日は楽器やったよ」と言えるようになった時は、とてもうれしかったです。

それでも幼稚園で先生に「今日は、こんなことやあんなことをしてしまいました」と言われ、本人にも確認しますが、真顔で「知らない」と言うこともしょっちゅうでした。ふざけているのでもなく、反抗して答えないのでもなく、マジで覚えていないんです。

今では、大まかな出来事はかなり覚えていられるようになってきました。誰かに暴力をふるってしまって先生と話をしたら、それを覚えていられて、家で私にも自分から話ができるようになってきたのです。これは、大きな成長です。

覚えていられるようになって、ようやく自らの行動の振り返りができるようになります。

これをしたらいけない。こういう時は、どうすればよかったんだっけ。こうしましょうって約束したな。これはこうしたら上手くいく。

そういうこれまでの経験が蓄積できるようになると、問題行動も直っていきます。覚えていられないと、蓄積ができません。いつまでたっても、同じことをくり返してしまいます。

そして、より効果的にするために行っているのが、トークンシステムです。

トークンシステム、トークン制とは、わかりやすく言うと「がんばったらご褒美がもらえる」制度のことです。

→(「トークンシステムってなに?」)

4歳頃に始め、その頃は自分の腕を噛む自傷行動に悩まされていたので、まずは「噛まなかったら」シールが貼れる台紙を作り、4ヶ月ほどで自傷行動を直すことができました。

次は暴力を直したい!と、目標を「誰も叩かなかったら」シールが貼れるように変更しましたが、これができませんでした・・・

とくに家庭よりも刺激の多い幼稚園で、誰も叩かずに、何もひっくり返さずに、1日過ごすことができなかったのです。シールが貼れない日が続くと、ミッキーのモチベーションも下がってしまい、台紙もまっさらなまま・・・

通級の先生とも相談し、「それはまだ難しい」ということで、目標を「あいさつができたら」や「列に並べたら」などの、より取り組みやすいものに変更し、続けてきました。

さて、いよいよ小学校に入学し、幼稚園では教室になかなか入れなかったミッキーが、すんなりと馴染んで活動に参加できている様子を見て、これならできるんじゃないかと感じました。

いよいよトークンの目標を「誰も叩かなかったら」に変えます。

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バツから花丸まで評価があり、毎日の様子から本人とも話し合いつつ、丸をつけていっています。手を出したら、問答無用でバツです。誰も叩かずに学校から帰ってこれたら丸、家でも誰も叩かなかったら二重丸、さらにお手伝いなどのよいことができたら、花丸です。手は出さなかったけれど、暴れたり約束を破った日は三角です。

花丸の日は、おやつもデザートも、好きなものを食べられます。バツの日はテレビが見れず、早くに寝なければいけません。

今は支援級に在籍していることもあり、学校での様子を連絡帳で細かく教えて頂けます。とくに、暴れたり他の子に暴力をふるったことは、必ず伝えてほしいと頼んであります。

やってしまったことを学校で先生と話をして、さらに家庭でも同じように話をすることで、より定着させることができます。「それはやってはいけない。こうすればよかった」と、先生からも私からも同じ話を聞くことで、どこでも同じだとミッキーに強く伝わります。

ですが、ここで、話をするだけよりも、目に「バツ」と見せるほうが、ミッキーへ定着しやすいのです。これは、視覚優位、見えるものしか理解できないという、自閉症スペクトラムの特性によるものと思います。本当に、約束でも何でも、紙に書くとすんなり入るものが、耳からはどれだけ話をしても残らない・・・

見える形に残すようにして、徐々にバツが減って、丸を増やしていけるようになりました。カレンダー大好きなので、花丸にこだわってがんばっています。このまま、他害がゼロになってほしい。本当に、手を出さずに過ごせるようになったら、もっといろいろなことが楽しめるようになるのに。

それを、ミッキー本人にも、どうかわかってほしい。

他害への対応② 応用行動分析学

我が家の次男ミッキーは、言葉の遅れと多動があり、3歳から療育に通い、5歳で自閉症スペクトラムとADHDの診断がつきました。

今、小学校1年生で特別支援学級へ通っています。

ミッキーは、ものごころつく前からいたずらがひどく、とくに1~4歳頃までは本当に多動・衝動性が目立ちました。連日、何かを壊しているという人でした (T_T)

ですが、叱っても意味が通じず、叱るとよけいにやられるという悪循環でした。叱らずにすむように、いたずらができないように環境を整備して、事前に止めて、どうにか毎日をやりくりして暮らしていました。

→(「他害への対応① 叱らない」)

3歳から療育に通い、言葉が増え始め、ようやく3歳半頃に二語文が出て、この頃から会話が通じている実感がわき始めました。

それまでは、断片的にしか聞き取れていない(衝動性が強く聞き終わるまでじっとしていられない)、決まったパターンでしか認識していない感じがありましたが(場面や場所が変わると通じない)、新しい言葉を覚えよう、言われていることを理解したいという気持ちが、ぐっと出てきました。善悪の区別もややついてきたので、いけないことはいけないと言って聞かせられようになりました。

でもまあ、わかっちゃいるけどやめられないってやつで、そんなすぐに手が出ることが減ったわけではありません。どうやって社会のルールを教えていけばいいのか・・・

その頃に始めた対応が、「応用行動分析学」です。





「応用行動分析学」とは「ABA」とも呼ばれる行動療法のことです。とくに言語面で苦手さを抱えがちな自閉症スペクトラムの子への効果が高いとされる、療育の手法です。

過去記事にもまとめていますが、

→(「応用行動分析学ってなに?」)
→(「続 応用行動分析学」)

言葉をうまく理解してくれない、叱ってもまったく効果がない、叱るとよけいに問題行動が増える、叱りすぎるとチックや夜泣きなど別の問題行動が出てしまうような場合は、ぜひ応用行動分析学を試してみてください。

「応用行動分析学」とは、簡単にまとめると

①適切な行動を強化し
②問題行動を消去する


関わり方のことです。

例えば、次男ミッキーが3歳、三男ユウキが1歳の頃は、おもちゃでも何でも取り上げては押し倒す、ブロックをくずされては怒って叩く、などの弟いじめがひどく(ユウキもまだわからずいろいろやっちゃう月齢だし)、兄弟ともにケガが絶えませんでした。

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その頃にやっていたのが、「反省コーナー」です。
暴力をふるったら、すかさず「反省コーナー」のイスに座らせて、タイマーが鳴るまで遊べないルールでした。手を出したら、遊べない。手を出さなければ、仲良くできたら、遊べる。

これは非常に効果的で、とくに叱ってもなかなか意味が通じなかったミッキーに、「この場所に座らなければいけない」=「いけないことをした」とわかりやすかったようです。

ゼロにはなりませんが、兄弟ゲンカでの暴力は格段に減りました。
(当初は5分に1回だったのが、半年ほどで週に1回くらいに減った)

今でも「おもちゃの取り合い」はしょっちゅうです。「反省コーナー」のイスは小さくなってしまい、もう使っていませんが、今はおもちゃを無理やり取ったり投げたりすると(問題行動)、そのおもちゃは使えなくなります(没収)。手を出したら(問題行動)、自分の部屋に強制的に連行します(クールダウン)。

つまり、望ましくない行動(取る、叩くなど)をしてしまうと、遊べなくなります。これは次男ミッキーだけでなく、兄弟3人とも共通のルールです。

問題行動⇒消去

順番を守り(適切な行動)、手を出さなければ(適切な行動)、いつまでも楽しく遊ぶことができます。1日中一度も手を出さずにいれたら、デザートにアイスがもらえます(ご褒美)。

適切な行動⇒強化

暴力をふるっても何の罰則もなければ、取ることをやめません。だって、そのほうが簡単だし早いもん。ですが、その罰則がただ「ごめんね」と謝るだけでは、効果がありません。取ったら、叩いたら、遊べない。これを徹底させる必要があります。

さらに適切な行動ができた時は、きちんと褒め、ご褒美をあげることを忘れてはいけません。がんばっても認めてもらえなかったら、やはり問題行動は直りません。

「応用行動分析学」では、消去と強化を同時に適切な手法で行うことで、問題行動を減らし、適切な行動を増やしていきます。

言って聞かせるよりも、自分の行動の結果を、体感させてあげること。とくに言葉がまだ未熟だったり、気持ちの切り替えが苦手だったり、周囲に合わせるのが苦手な子には、できるだけわかりやすい形で示さなければ、残りません。

「暴れたら、みんなもあなたも嫌な思いをする」
「仲良くできたら、あなたもみんなも楽しく過ごせる」

⇒「みんなが楽しく過ごすには、どう振る舞わなければいけないのか」

普段から、これを意識させるような声掛けを心がけています。

問題行動には毅然とした対応を徹底して、適切な行動は大げさに褒めて、どのように振る舞えばいいのかを具体的に教えていかなければ、なかなか身につきません。

ただ、子供がルールを理解していない段階でこれをやると、がんじがらめでしんどくなります。ある程度の理解力がついて、わかっちゃいるけどやめられないという状況でお試しください。

また、ルールが多すぎるとそれもしんどいので、「たたかない」や「こわさない」など、1つか2つにしぼって、約束させましょう。そして、なぜそうしなければいけないのか。明確にわかりやすい説明をして、子供が納得してから運用してあげてください。

他害への対応① 叱らない

我が家の次男ミッキーは、言葉の遅れと多動で受診し、3歳から療育に通い、5歳で自閉症スペクトラムとADHDの診断がつきました。

ミッキーは衝動性が非常に強く、歩く前からいたずら大魔王でした。

おもちゃでは遊ばず、テレビも見ず、引出しのものを全部出すとか、棚から本を全部出すとか、お茶をこぼすとか、ご飯を投げるとか、とにかく手が届くもの全てをぶちまけることにしか、興味がありませんでした (T_T)

何度、「キャー」と悲鳴を上げたでしょう。
なぜこんなに、悪さばかりしつづけるのか・・・ (T_T)

ただ・・・今でもよく覚えているのですが、ミッキーが2歳頃、何度目かコップを投げてびしょびしょにされ、その日はそれ以外も壊したりぶちまけられていて、私も堪忍袋の緒がキレてしまい、喋れないのはわかっていたのに「ごめんなさいは!」と、一言でいいから反省してほしいと詰め寄った時に、ミッキーがオロオロしながら「2」と指を出したのです。

ハッとしました。

「(ごめん)なさいは?」=「なんさい?」
しか、聞き取れていない。

怒られているのに、年を聞かれていると思っている。

これは・・・叱っても意味がない。痛感した瞬間です。叱っても、この子には伝わっていない。困らせているだけだ。

それからは、いたずらができないように環境を整えることに全力をそそぐようにしました。そうすれば、いたずらされないし、されても大事にならずにすみます。

とくに1~3歳頃の小さな子を、叱ってしつけるのは意味がありません。

怒っている反応がおもしろいから、よけいやられます (T_T)
ずっと叱られていると、子供もイライラして、よけいやります (T_T)
やりたいことを制止されて、よけいにやります (T_T)

そういう場合の対処法は

①環境調整
②事前の声掛け
③とにかく褒める


①の「環境調整」とは、「問題行動が出ないよう環境を整える」こと。危ない場所には柵をつけ、ドアには鍵をつけ、引き出しには出されてもいいものしか入れず、テレビもパソコンもアクリル板で保護し、投げたら危ない積み木などは、全て片付けました。本棚の本を全部出して、棚板も外して、ビスを抜いて食べていたこともあったので、外せないように固定したり・・・いたちごっこですよ。もう本当に。

手が出そうな場面をよく観察し、手が出そうな要素は事前に排除しておく。手が出そうになったら、すかさず止める。そして「うわー、えらいねぇ。おもちゃとらなかったねぇ」とか、「ひっくり返さなかったねぇ」と、③褒める

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アホくさいですよ。だって、私が止めてるんですもん。
またすぐ、同じ悪さをしようとするんですもん。
褒めても、どれだけ通じているのかと、むなしかったですよ。

でも、そうするしかない時期というのが、確かにありました。
ある程度、言葉の理解が進まなければ、叱ることすらできません。

「遊びの終わり」とか「順番を守る」とか、荒れそうだな、できなさそうだなという事柄では、「あと3回で終わりだよ」「お友達の後ろに並ぼうね」と②少し前に声掛けをして、できたら③褒める。

とにかく、やっていいことを伝えるようにしました。こうすれば、いいんだよ。これだったら、やっていいんだよと。

やってほしい行動を伝えて、できたら褒める。できなかったら、次にどうすればできるかを考える。このくり返しでした。

でも、家はいいんですよ。対策できますからね。
一番大変なのは、実家に連れて行った時とか、児童館などの出先では、やりたい放題になってしまうのが、本当にきつかった。そういう時は、一挙手一投足を見守り、絶対に事前に止めなければなりません。

あと、私は別に子供の服が前後裏表逆でも、靴が左右逆でも、机の上に乗られても、まったく気にならないのですが(そんな事気にしてたら男の子3人は育てられません (^_^;))、お姑さんとか旦那さんが、細かいことを言うのが困りました。そんなの、2歳3歳児に言ったって・・・と感じるようなことを、しつけのためと言われるのがしんどかったですね。

とくにミッキーの2歳なんて。ケガをせず、物も壊さず一日いられたら大成功みたいな日々だったのに。療育手帳を取得して、ミッキーの現実をわかってくれるようになって、周りの人も理解してくれるようになりましたが、幼少期は確実に「私のしつけが悪い」と思われてたよな~と思います。まあ、今ではいい思い出です。

もちろん、勝手に触ってはいけないものは多いし、触り方が悪いと壊れてしまうものも、たくさんあります。最低限の社会的な礼儀とかマナーは、生きていく上で必要です。とくに他の子にケガをさせるとか、物を壊すことは絶対にいけないと、そこは一線を引いて一貫して伝え続ける必要があります。

「しつけ」はどんな子にも必要ですし、発達障害があったとしても、やはりそれなりのマナーやふるまいを教えていかなければ、将来的に困るのは子ども自身です。

ですが、これは保護者の方のために言いますが、叱ってしつけるのはおすすめしません。というか、ADHDの子供を叱ってしつけようと思ったら、本当に四六時中叱っていなければなりませんし、それでもほとんど効果がないのです。効果がないどころか、叱り続けている自分に嫌気もさすし、家の中がギスギスしてきて、環境的に大変よろしくありません。


叱らずに楽しく子育てしたいと思っている方へ、おすすめの書籍がこちら。





例えば「走っちゃダメ!」を「歩きます」のように、「指示、命令、禁止」をやめて、声かけを変換することを勧めています。これは、発達障害児だけでなく普通の子育てにもおすすめです。

片付けておくだけで、少し前に正しい行動を伝えてあげるだけで、もめ事が減って、叱らずに褒めて育てられるのなら、そのほうが親子ともに楽です。全部片付けるのは大変と思うかもしれませんが、始めにやっておくと壊されないし、ケガもしません。毎回壊されて片付けるより、断然楽です。事前の声掛けも、癖になってしまえば、他の子に手を出されて謝りに行くよりも、ずっとずっと楽です。

profile

筆者:nontan
男の子3人を育てています。
長男ゲンキ(2009年生)
こだわりの強いグレーゾーンBOY
+アトピー&卵アレルギー

次男ミッキー(2012年生)
ASD+ADHDのハイブリッドBOY
+ぜんそく&卵エビカニアレルギー

三男ユウキ(2015年生)
今のところ普通に見えるけれど…アレルギーなし

出産前は書店勤務&JPIC読書アドバイザーとして活動していました。子育てが一段落したら、読み聞かせ活動を再開したいです!
はじめての方は、こちらの記事をまずお読みください。

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