我が家の次男ミッキーは、言葉の遅れと多動があり、3歳から療育に通い、5歳で自閉症スペクトラムとADHDの診断がつきました。

今、小学校1年生で特別支援学級へ通っています。

ミッキーは、ものごころつく前からいたずらがひどく、とくに1~4歳頃までは本当に多動・衝動性が目立ちました。連日、何かを壊しているという人でした (T_T)

ですが、叱っても意味が通じず、叱るとよけいにやられるという悪循環でした。叱らずにすむように、いたずらができないように環境を整備して、事前に止めて、どうにか毎日をやりくりして暮らしていました。

→(「他害への対応① 叱らない」)

3歳から療育に通い、言葉が増え始め、ようやく3歳半頃に二語文が出て、この頃から会話が通じている実感がわき始めました。

それまでは、断片的にしか聞き取れていない(衝動性が強く聞き終わるまでじっとしていられない)、決まったパターンでしか認識していない感じがありましたが(場面や場所が変わると通じない)、新しい言葉を覚えよう、言われていることを理解したいという気持ちが、ぐっと出てきました。善悪の区別もややついてきたので、いけないことはいけないと言って聞かせられようになりました。

でもまあ、わかっちゃいるけどやめられないってやつで、そんなすぐに手が出ることが減ったわけではありません。どうやって社会のルールを教えていけばいいのか・・・

その頃に始めた対応が、「応用行動分析学」です。





「応用行動分析学」とは「ABA」とも呼ばれる行動療法のことです。とくに言語面で苦手さを抱えがちな自閉症スペクトラムの子への効果が高いとされる、療育の手法です。

過去記事にもまとめていますが、

→(「応用行動分析学ってなに?」)
→(「続 応用行動分析学」)

言葉をうまく理解してくれない、叱ってもまったく効果がない、叱るとよけいに問題行動が増える、叱りすぎるとチックや夜泣きなど別の問題行動が出てしまうような場合は、ぜひ応用行動分析学を試してみてください。

「応用行動分析学」とは、簡単にまとめると

①適切な行動を強化し
②問題行動を消去する


関わり方のことです。

例えば、次男ミッキーが3歳、三男ユウキが1歳の頃は、おもちゃでも何でも取り上げては押し倒す、ブロックをくずされては怒って叩く、などの弟いじめがひどく(ユウキもまだわからずいろいろやっちゃう月齢だし)、兄弟ともにケガが絶えませんでした。

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その頃にやっていたのが、「反省コーナー」です。
暴力をふるったら、すかさず「反省コーナー」のイスに座らせて、タイマーが鳴るまで遊べないルールでした。手を出したら、遊べない。手を出さなければ、仲良くできたら、遊べる。

これは非常に効果的で、とくに叱ってもなかなか意味が通じなかったミッキーに、「この場所に座らなければいけない」=「いけないことをした」とわかりやすかったようです。

ゼロにはなりませんが、兄弟ゲンカでの暴力は格段に減りました。
(当初は5分に1回だったのが、半年ほどで週に1回くらいに減った)

今でも「おもちゃの取り合い」はしょっちゅうです。「反省コーナー」のイスは小さくなってしまい、もう使っていませんが、今はおもちゃを無理やり取ったり投げたりすると(問題行動)、そのおもちゃは使えなくなります(没収)。手を出したら(問題行動)、自分の部屋に強制的に連行します(クールダウン)。

つまり、望ましくない行動(取る、叩くなど)をしてしまうと、遊べなくなります。これは次男ミッキーだけでなく、兄弟3人とも共通のルールです。

問題行動⇒消去

順番を守り(適切な行動)、手を出さなければ(適切な行動)、いつまでも楽しく遊ぶことができます。1日中一度も手を出さずにいれたら、デザートにアイスがもらえます(ご褒美)。

適切な行動⇒強化

暴力をふるっても何の罰則もなければ、取ることをやめません。だって、そのほうが簡単だし早いもん。ですが、その罰則がただ「ごめんね」と謝るだけでは、効果がありません。取ったら、叩いたら、遊べない。これを徹底させる必要があります。

さらに適切な行動ができた時は、きちんと褒め、ご褒美をあげることを忘れてはいけません。がんばっても認めてもらえなかったら、やはり問題行動は直りません。

「応用行動分析学」では、消去と強化を同時に適切な手法で行うことで、問題行動を減らし、適切な行動を増やしていきます。

言って聞かせるよりも、自分の行動の結果を、体感させてあげること。とくに言葉がまだ未熟だったり、気持ちの切り替えが苦手だったり、周囲に合わせるのが苦手な子には、できるだけわかりやすい形で示さなければ、残りません。

「暴れたら、みんなもあなたも嫌な思いをする」
「仲良くできたら、あなたもみんなも楽しく過ごせる」

⇒「みんなが楽しく過ごすには、どう振る舞わなければいけないのか」

普段から、これを意識させるような声掛けを心がけています。

問題行動には毅然とした対応を徹底して、適切な行動は大げさに褒めて、どのように振る舞えばいいのかを具体的に教えていかなければ、なかなか身につきません。

ただ、子供がルールを理解していない段階でこれをやると、がんじがらめでしんどくなります。ある程度の理解力がついて、わかっちゃいるけどやめられないという状況でお試しください。

また、ルールが多すぎるとそれもしんどいので、「たたかない」や「こわさない」など、1つか2つにしぼって、約束させましょう。そして、なぜそうしなければいけないのか。明確にわかりやすい説明をして、子供が納得してから運用してあげてください。