我が家の次男ミッキーには、自閉症スペクトラムとADHDの発達障害があります。

幼少時から言葉の遅れがあり、3歳半でようやく二語文、6歳の今は、ほぼ口頭でやり取りができますが発音が難しい言葉があったり、抽象的な意味がわからなかったり、2歳半下の弟のほうが言語面も社会性も安定しています。

一番困るのは、「口より先に手が出てしまう」こと。

ミッキーは幼児期から衝動性が非常に強く、言葉の遅れはもちろん気になりましたが、それよりとにかく多動を何とかしてって感じでした。10秒でいいから座って欲しいって思っていましたね。

感覚統合訓練を1年間療育センターで受け、集中力がついてようやく言葉も出始めました。幼稚園と並行して通級や療育を続け、今はかなり周りに合わせて動けるようになってはきました。

それでも、今でも口より先に手が出ます。

欲しい物が目に入ると、周りの人間はほぼ見えません。いきなり取ってしまうし、取り返されると(自分が先に取ったくせに)ものすごく怒ります。自閉症スペクトラムの「言葉が出にくい」特性に、ADHDの衝動性がプラスされるので、ここは本当に育ちにくい部分です。

夏休みに特別支援学校の夏期集中講座に参加して
→(「夏期集中講座への参加」)

言語聴覚士の先生から、そういった子への対処法を教えていただいたのでご参考までに。


まず、取りに来られても、必死で「取らせない」(^_^;)

img007

制して、「何て言うんだったかな?」と誘導。
(難しければヒントを出してもOK)

img006
img008

「貸して」「見せて」など、子供から伝えられたら、ようやく渡す。


大切なことは、制止が間に合わず取られてしまった場合も、手を抑えるなどして必ず「貸して」を言わせる。「貸して」が言えたら、「必ず貸してもらえる」状況を作る。(言っても貸してもらえなかったら、取ることをやめない)

徐々に「貸して」が先に言えるようになったら、「終わったら返してね」「大事な物だから、触らないで見るだけにしてね」など、異なる条件も提示していく。相手から「貸して」と言われたら、貸してあげられる練習も始める。

言葉でのコミュニケーションが難しい場合でも、身振りや意思表示カードを使うことで、まずは相手に伝えてから行動することを学ばせます。

img009

意思表示カードは、生活の中でよく使う言葉をいくつか入れておきましょう。本人が使えればベストですが、介助者が持っておいて、手が出そうになった時にさっと「どれかな?」と気持ちを確認する癖をつけるとよいそうです。ベルトなどにつけておいて、必要なときだけ使えるカードホルダーなどがあれば、普段から使いやすいです。




多動の子の攻撃に「取らせない」反射神経が求められる対処法ですが、「無理やり取ったほうが早い」「取ったら手に入る」とインプットされてしまうと、いつまでも問題行動が収まりません。

「無理やり取ったら貸してもらえない」「言えたら貸してもらえる」と教えなければ、「口より先に手が出る」のは直りません。また対応は一貫していなければ、子供が混乱して身につきません。幼稚園では言わないといけないけど、家では取ってもいいなどと、場所によって対応が変わらないように気をつけましょう。

ミッキーは視野が狭く人より物のほうが目に入りやすい人なので、他の人も使っていると気づかなかったり、突っ走ってしまってぶつかったり、(慣れない人には)「貸して」がどうしても言えずに取ってしまったり、「貸して」と言えてもすぐ貸してもらえないと怒ってしまったり・・・根気強く「周りを見て」と言い続けるしかないのでしょう。

まあそれでも、1年前、2年前に比べれば、「貸して」が言える回数は増えてきているし、待てる時間も少しずつ伸びています。いつか、できるようになる!そう信じて。