「チック」「チック症」という言葉を聞いたことはありますか?
「チック」とは、まばたきや咳払いなどを本人の意志に関係なくしてしまう精神障害です。ストレスや心の動きと大きく関係しており、また病気や事故の後遺症で出ることもあります。
チックには「運動チック」と「音声チック」があり、「運動チック」にはまばたき、手を掻く、首を振るなどがあり、「音声チック」には咳払い、舌打ち、声を出すなどがあります。
またチックの症状でも、「単純性チック」と「複雑性チック」に分けられ、「単純性チック」は文字通り単純な動きのみのチックに対して、「複雑性チック」になると動きが複雑に重なって、意味があるように見えるのでチックと気づかれにくい場合があります。
悪癖や悪意と取られてしまうことも多く、とくに「音声チック」の「複雑性」は本人の意志に関係なく、罵詈雑言を口に出してしまったりして、人間関係がうまくいきません。
幼児期のチックは、約1割の子どもに見られるという報告もあるほど、意外とありふれた症状です。心理的なものが大きく関係しており、小学校入学前後などストレスのかかる時期に出ることが多いようです。
ストレスが原因で起きている場合は、ほっと安らげる時間をとってあげる、ストレスを感じる環境を調整するなどの対応で、自然と治っていきます。ほとんどが一時的なものなので、周りがあまり気にせずに接するほうが治りやすいです。悪い癖になったら困る!とチックが出るたびに注意をしてしまうと、より悪化してしまいます。
我が家の次男ミッキーも、3歳頃からチックが始まりました。
まばたき、ベロを出す、手を掻く、おちんちんを触る (^_^;) というのもありました。
一つ治まったと思ったら、次のチックが始まり・・・とイタチごっこ状態。
2年ほどでかなりおさまったのですが、まばたきは疲れがたまると今でも出ます。
5歳頃になると、「あ、ふぅ~」「ふぅんふぅん」という小さな声を無意識に出すようになり、機嫌がいい時に出しているのですが、これ音声チックだよな・・・これだけチックが重なるのって・・・「トゥレット症」じゃ?・・・と不安になりましたが、音声チックも数ヶ月で収まりました。
「トゥレット症候群」とはチックの最重症版で、運動チックや音声チックが重なって現れ、かつそれが一年以上継続して続き、症状の増減・変遷をしながらも、慢性化していく精神障害です。ほとんどのチック症は環境の調整や見守りなどで治っていくのに対し、トゥレット症候群の場合は医療機関などで治療する必要が出てきます。
発達障害のある子どもは、チックを併発しやすいと言われています。
どちらも脳機能の支障なので、脳の同じ部分が影響しているのではと考えられています。また発達障害が原因でストレスが多い上、ストレスに弱いせいもあります。
ミッキーを見ていても、自閉スペクトラム症の聴覚過敏や触覚過敏から毎日の生活が困難な上に、ADHDの衝動性からとにかく我慢ができないので、もう、本当に、毎日、生きていくだけで、いっぱいいっぱいです。
ミッキーはチックが出る=しんどいということなので、見かけたら「よしよし」モードに切り替えます。しばらく「よしよし」してもらって充電できると、徐々に収まっていきます。どうしても叱られることが多い子なのですが、叱るとよけいにチックがひどくなります。
幼稚園では、行事の前後はよくまばたきチックが出ていました。
だいたい、しんどかった事柄の3日遅れくらいでチックが出ます。
一度出始めると、1~2週間ほどは続きます。
家ではひたすら静養につとめ、しんどいことはさせないようにしますが、疲れの出る夕方になると、目を開けていられないほどチックがひどくなり、パチパチと涙を流しているミッキーを見ていられませんでした。
チック=SOS のような気がして、幼稚園を休ませたい衝動に、よく駆られました。
がんばりすぎてない?
もうちょっと、ゆっくりでもいいんだよ。
でも少しづつ周りが見えてきて、周りに合わせたいと思えるようになってきて、それは彼の著しい成長です。マザー・ストップをかけることは簡単ですが、それではせっかくのミッキーのがんばりを無駄にしてしまうかもしれない。心を鬼にして、見守る時もいるのかなと思います。
チックが長引くようならまた話は変わってきますが、外で頑張れるように、安全な基地(家庭)を整える。親は、自分ができることをやってあげるしかないのでしょう。