言葉の遅れがある子供は、必ずどこかで、聴力を確認する必要があります。乳児定期健診でも、聴こえているかどうかは必ずお医者さんや保健師さんががチェックしているはずですが、軽度の難聴の場合は、気づかれないことも多いようです。

最近は新生児期スクリーニング検査を導入している機関も増えてきたので、生まれてすぐに聴力検査を受けることができます。生まれつきの難聴は、発見しやすくなってきました。BUT、新生児スクリーニング検査を受けていない子供や、受けて異常はなかったけれど、言葉が遅い or 発音が気になるという場合は、聴力検査を受ける必要があります。中耳炎などが原因で、後天的に聴力が下がることもあります。

保育園や幼稚園の定期健診で、聴力検査が行われている場合もありますし、小学校に入ると必ず毎年受けることになると思いますが、乳幼児の時期に聴力検査を受けるとなると、けっこう大変です・・・(「難聴かもしれない??言葉の遅れがある子供は絶対に確認するべきこと」)

難聴には、伝音性難聴感音性難聴の二つがあります。

伝音性難聴は、音が伝わる部分の問題で、中耳炎や鼓膜が破れたなどの原因で起こります。薬や治療によって、治る難聴です。

感音性難聴は、音を感じる部分の問題で、先天性の難聴や突発性難聴など、治らない場合が多く、補聴器や人工内耳を使う必要が出てきます。

難聴の程度は、聴力のレベル(dB)によって

軽度難聴(25~40dB) 木が風で揺れる音が聴こえない
中度難聴(40~70dB) 日常会話が聴き取りづらい
高度難聴(70~90dB) ピアノの音が聴こえない
重度難聴(90dB以上) 車のクラクションが聴こえない

に分かれています。軽度の場合は、日常生活にはさほど不便を感じず、ささやき声が聞こえない、電話の声が聞き取りにくい程度です。中度以上の難聴になると、親や保育者が気付くと思いますが、軽度の難聴、または片耳だけの難聴の場合は、気づかれにくい場合が多いようです。

急にテレビの音を大きくするようになった
話しかけても気づかない
授業に集中できていないようだ(急に成績が落ちた)

などの症状があれば、難聴を疑ってみましょう。

きちんとした聴力検査は、耳鼻科医や脳波の検査ができる大きな病院でないとできませんが、自宅で簡単にできる「聴こえているかどうか」のチェック方法をご紹介します。いくつかチェックしてみて、やはり聞こえていなさそうだと感じたら、精密検査を受けることをおすすめします。

まずは、小さな音が聞こえているかどうか。

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指の腹をこすり合わせると、シャラシャラという小さな音がします。これがだいたい、20~25dBほどの大きさの音になります。それを赤ちゃんや子供の耳の後ろから聞かせて、振り向くようなら聞こえている、気づかないようなら難聴の可能性があります。すこし離れたところから小さめの声で話しかけてみる、風の音などに反応しているかを確認するのも、聞こえのチェックにおすすめです。

また、高い音だけ(低い音だけ)聴こえない難聴のケースもあり、聴こえているようだし話せているのだけれど、発音がどこかおかしい、妙に甲高い声(または低い声、飲み込んだような声)で話すような場合も、聴力のチェックをする必要があります。日常生活では、高い音→口笛や目覚まし時計などの電子音が聴こえているかどうか。低い音→ヘリコプターや飛行機などのジェット音に気づくかどうか。を目安にするといいです。

先天性の難聴以外にも、中耳炎やおたふくかぜの後遺症で難聴が残ってしまう場合もありますし、原因のはっきりしない突発性難聴は、若い人でもなる場合があるので、聴こえ方が気になる場合は、早めに病院を受診しましょう。とくに突発性難聴は、発症後2週間以内に治療をスタートすれば聴力が戻りやすいので、自分から「聴こえにくい」と言えない子供の場合は、周りの大人がよく気をつけてあげる必要があります。