算数嫌いの子供は多いですが、LD(学習障害)の子供たちは、いくら解き方を教えてもどうしてもできず、「頭が悪い」「なまけている」と思われがち。けっして怠けているわけではなく、脳の認知機能の問題なので、親や教師の思わぬところでつまずいていることがあります。思い当たる部分があれば、ぜひ落とし穴に戻って、丁寧に埋めてから先に進みましょう。「わかった!」という経験が、子供を成長させます。

我が家の長男ゲンキも、知的には非常に高いのですが、計算系が苦手。数式が、どうしても頭に入りません。1年生の計算カードにまずつまずき、「7+1」や「8+1」など、なぜ??という簡単な式で間違えるので、不思議でした。これだけ毎日やったらいい加減覚えるだろうという程、スパルタにやりましたが、なぜか覚えられない。タイムも、みんなが1分とか30秒でできる計算カードが4分以上かかる。

まだ彼の特性に気づいていなかったので、「どうしてできないの!」と言ってしまい(ゴメンm(__)mゴメン)、親子でつらい宿題タイムを過ごしていました。が、あまりにできないので、母に相談し(母は元小学校教員)、「まだ量の概念ができていないのではないか」とのことで、徹底的に指を使って計算をさせる、数の単元まで戻って何度も数え上げをさせる、小さな計算カードをやめて母秘蔵の大判カードを使用する、タイムは気にしない、などの対応で、ようやく1年生の終わり頃には何とかなりました。

とくにカードの大きさが一番効果があって、2年生の九九でも大判のカードを使用して練習しました。今考えると、計算をやる&カードをめくるという、同時に二つの動作をすることが、難しかったのだと思います。

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大判のカードは市販もされているので、お子さんがつまづいていたら、ぜひ試してみてあげてくださいね。

たしざんカード
公文公
くもん出版
2008-01





ひきざんカード
公文公
くもん出版
2008-02





九九カード
くもん出版
2008-02







ゲンキの場合は、目に見えない数をイメージするのが苦手だったようです。(同じくイメージしにくい、時間を求める問題も苦手です)ひたすら実物を使う、指を使う、絵に描いて数えさせる、などを毎日やりました。彼は強情で、「手を使うのは恥ずかしいから嫌」と頑なに拒否。嫌なら学校ではしなくてもいいから、家では手を使おうと必死に説得しましたが、LDに自閉症スペクトラムのこだわりがプラスされると、ほんと指導が難しいです・・・( ;∀;)

くり上がりやくり下がりは、家庭学習の成果もあり、何とか理解してくれましたが(ここでつまずく子が多いです)、ひっ算が始まるとまた計算ミスが増えます。字が汚く「0」と「6」が書き分けられず、本人すら間違える始末。何度言っても、くり上がりの数を書き忘れて間違えるし、1の位ではたし算をして、10の位では引き算をする・・・なんてミスも多く、これは3年生になった今も、完全には克服できていません。

イメージさえできれば解けるので、百玉そろばんを使わせたり、時計の実物模型を使わせたり、数式を標語にして覚えさせたり、もうあの手この手で食らいついています。

計算が苦手な子の対策としては

①数の概念が身についていない

→ひたすら、数え上げをする
→そろばんやおはじきなどで、触って見て声に出して、五感をフルに使って体に叩き込む

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木製 100だまそろばん
学研ステイフル
2014-06-07






小学校入学前に、100まで数えられるようになっていれば、算数にはついていけると言われています。

②短期記憶が弱い

→メモを取る習慣をつけさせる

③視覚認知が弱い

→マス目のある計算用紙を使う
→大きなカードを使う

④数式を覚えられない

→標語にして覚える

ゲンキは「4×5=20」「4×7=28」などがどうしても覚えられず、「死後(4×5)20年したら、幽霊は成仏する」とか「しひち(4×7)さん、28歳。婚活中」とか、私が適当に作った小話で覚えました)

数をこなすしかありませんが、毎日、少しずつをコツコツさせるほうがいいです。一度に多すぎる練習問題をやらせると子供も嫌になり、より苦手意識がついてしまいます。また字を大きくすればできる、式を親が書いてあげればできる、マス目のノートならできるようなら、みんなと同じにこだわらず、本人がやりやすい方法をとってあげるといいかと思います。ただでさえ苦手な計算に、+見えにくいなどのハンディがあると、子供のキャパを超えてしまいます。学校でも認めてもらえるようなら、先生に相談してみましょう。

また生活の中でも、「あの電車は何両編成?」とか「これとこれを買ったら、いくら?」とか、できるだけ数や計算を使うようにしてみましょう。高度な数学的思考まで身につける必要はありませんが、実用的な計算はやはりできないと、本人が困ります。認知の問題でどうしても計算ができない場合は、早い段階で電卓の使い方を教えるなど(今はスマホで何でもできるし)、生きていくための知恵を身につけさせる必要もあると思います。