発達障害の子供は、普段自覚しにくい前庭覚固有覚という感覚が未発達のことが多く、その発達の凸凹さが問題行動につながっています。

前回の記事では、固有覚について書きました。(「固有覚ってなに?」)今回は、前庭覚についてご紹介します。

前庭覚とは、平衡感覚とも呼ばれ、身体のバランスをとるための感覚です。

img125

私たちは立って歩くだけでも、無意識のうちに前庭覚を使ってバランスをとりながら生活しています。引力を感じて、空間の中での自分の身体の位置を知るための感覚が、前庭覚です。

身体の傾きや回転を感じる前庭覚が未発達だと、まっすぐに立ったり座ることが苦手で、姿勢が崩れやすかったり、座り続けることが困難で、すぐに立ち歩いてしまったりします。落ち着きなくつねに動き回ってしまう多動も、前庭覚が鈍いため、より強い刺激を求めてしまうせいです。

高いところやバランスの悪いところを異常に怖がったり(重力不安)、動いているものを目で追うことが苦手で、黒板に注視できなかったり、集中を持続できないなどの問題が出てきます。

img119

 次男ミッキーは、ここが弱いですね。
多動だし、高いところも揺れる遊具もとても怖がります。すべり台はOKなんですが、ハンモックやブランコは、感覚統合訓練を根気強く続けて、ようやく最近、すこし乗れるようになりました。

前庭覚を鍛えるには、すべり台やブランコ、平均台、スクーターや自転車などのスピードが出る乗り物、空中ブランコやタイヤブランコの回転などが、おすすめです。揺れるブランコにしがみつくことで、固有覚も一緒に刺激することができます。ブランコも上手に乗れるようになってきたら、押す速さを変えたり、突然止めたり、左右アンバランスに揺らしたりと、様々な不規則な動きを入れるといいそうです。

IMG_0411

授業中に椅子にきちんと座り、先生の話を聞いて、黒板の文字を読む。

これだけをこなすために、本当に様々な感覚が使われています。

じっと座っていられない、さされた文字を読めない、突然キレてしまうなど、子供の問題行動には必ず理由があります。前庭覚や固有覚、触覚などの感覚がアンバランスなせいでこれらの問題行動が起きているなら、感覚統合訓練が有効です。家庭でできる訓練も、たくさんあります。

やみくもに叱るのではなく、なぜできないのか、なぜこんなことをしてしまうのか、を一緒に考えて生きていけたらいいなと思います。