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自閉症スペクトラムやADHD。発達障害があるかどうか、微妙な子供たちがいます。発達障害の傾向は持ちつつも、健常児と混じってやっていけないこともない子供たちです。
グレーゾーン、ボーダーライン、スペクトラム、パステル、境界域、などなど様々な表現があります。

「グレーゾーン」と呼ばれることが一番多いですが、これは自閉症スペクトラムやADHDは、誰もがその傾向を持っているもので、ここからが「障害」ここまでは「正常」ときっちりと線引きできないからです。グレーなゾーンが存在するからです。

「こだわりがある」「順番通りにやりたい」「きっちり並べたい」「好き嫌いが激しい」「気になったことはすぐにやらないと我慢できない」「好きなことだけやりたい」「嫌いなことは興味が持てない」などなど、ご自分やお子さんにもいくつか当てはまりませんか?
その傾向自体は当たり前のもので、=発達障害ではありません。発達障害とは、年相応の子供に比べてその傾向が顕著であり、家庭や学校など社会生活に支障をきたす場合をいいます。つまり、社会生活に適応できているかどうか、がキーなわけですね。

多動ではちゃめちゃでも、社会生活に困っていなければ、診断はつきません。
そもそも困っていなければ、相談や検査にも行かないでしょうし。

自閉症児にみられる「言葉の遅れ」は、言葉によるコミュニケーションで成り立っている現代社会では、大きな障害となります。身振り手振りや顔の表情、絵で描く、筆談など、言葉以外のコミュニケ―ショーンツールで補うこともできますが、やはり話せないと生きづらい世の中です。

対して言葉の遅れがない「アスペルガー症候群」などは、障害に気づかれにくく、個性として見られがちですが、やはり周囲とうまくやって行けず、ひどいいじめを受けたり、大人になってから会社に馴染めないなど、問題が出てくることも多いです。「グレーゾーン」だから、健常者に混じってやっていけるからと、支援や対策が不要なわけではありません。むしろぱっと見て障害があるとわかる重度の人よりも、特性がわかりにくい分、本人やしつけのせいにされてしまいがちで、つらい思いをするのではないでしょうか。

「ボーダーライン」
は、境界性パーソナリティ障害の英名でもあるので、発達障害に対してはあまり使われません。知的障害のラインIQ75を「ボーダー」と表現する専門家は多く、IQ70~90辺りの判断が難しい場合に「ボーダーライン」と言われることがあります。

「スペクトラム」とは、連続体という意味で、以前は自閉症、高機能自閉症(知的な遅れがない自閉症)、アスペルガー症候群(対人コミュニケーションに問題がある)と細かく分かれていた分類を、現在はそれもこれも含めた、「自閉症スペクトラム障害」「自閉スペクトラム症候群」と呼ぶようになりました。大まかな傾向は似ているけれど、症状の出方は千差万別であり、はっきりと分類できないからです。「自閉スペクトラム症候群」とすることで、グレーゾーンだった子も、以前と比べて診断がつきやすくなったように感じます。

「パステル」や「境界域」も、意味合いは同じですね。
ようするに、分けられないんです。持って生まれた、個性なんです。「自閉症だから」と言うことは簡単ですが、何ができて何ができないか、どうすればできるようになるか、は本当に人それぞれ。「グレーゾーン」の子供だって、本当にいろいろな子がいます。そして「自閉症スペクトラム」や「グレーゾーン」だからといって、基本的な育て方は同じです。苦手なことを上手に伸ばして、得意なことは好きなだけやらせてあげて・・・
その伸ばし方に、ちょっとコツがいるだけなんですよね。

どうぞどの子供も、幸せで健やかに成長できますように。
日本が、そんなやわらかくて優しい社会でありますように。